パターン1:癖の上から毎日アイロン
朝、前日の結び跡や耳掛け癖が残ったまま、それを消そうと高温のストレートアイロンを当てる。曲がった形のまま熱が入り、跡の形が少しずつ強く固定されていく。毎日繰り返すことで、濡らしても戻らない折れ目に変わっていきます。
こんにちは。南浦和駅から徒歩30秒、縮毛矯正・髪質改善専門の美容室「HAIR SALON MELIA」代表の星野です。
11月に入り、マフラーやタートルネック、ニット帽の出番が増えてきました。この時期のカウンセリングで急に増えるのが、こんなご相談です。
実はこれらの悩みの多くには、共通する「髪の中の結合」の問題が隠れています。そしてその中でも、ほとんどの方が聞いたことのない「ランチオニン結合」という言葉が、「縮毛矯正をしても取れない癖」「何度かけても伸びない毛先」の正体を説明するカギになります。
ランチオニン結合という言葉自体を検索する方はほとんどいないと思います。ですが、「結び癖が取れない」「耳掛け癖が直らない」「縮毛矯正が毛先だけかからない」と検索してこの記事にたどり着いた方にとって、この仕組みを知ることは、次の縮毛矯正で失敗しないための一番の近道です。専門用語はできるだけかみ砕いて、美容師が普段サロンで考えていることをそのままお伝えしますので、ぜひ最後までお付き合いください。
この記事の目次
まずは言葉の整理からです。一口に「癖」といっても、生まれつきのくせ毛(うねり・縮れ)と、生活の中で後からついた「跡」としての癖は、まったく別物です。この記事で扱うのは主に後者、つまり外からの力や形で一時的・あるいは半永久的についた癖です。
| 癖の種類 | 主な原因 | よく出る場所 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 結び癖 | ヘアゴム・シュシュ・バレッタでまとめる | えり足〜後頭部の中間、ゴムの位置 | 横一直線の「折れ目」や段差。ゴムの位置で毛先が外に跳ねる |
| 耳掛け癖 | 髪を耳にかける習慣 | 顔まわり・サイドの耳上〜耳後ろ | 耳の形に沿ったカーブ。片側だけ跳ねる・浮く |
| ピン跡 | ヘアピン・クリップで留める | 前髪・サイド | 小さなくの字の折れ。前髪が割れる |
| 寝癖 | 寝ている間の圧迫・摩擦 | 後頭部・つむじ周辺 | 部分的な浮き・つぶれ。広範囲に不規則 |
| 押し癖 | マフラー・タートルネック・コートの襟・リュック | えり足・肩につく毛先 | 外ハネ・内に入り込む・毛先がつぶれる |
| ヘアバンド跡 | カチューシャ・ヘアバンド・帽子 | 頭頂部〜ハチ周り | 帯状のへこみ。トップのボリュームが途切れる |
これらの癖は、多くの場合髪を濡らして乾かし直せば元に戻ります。ところが、中には「何度濡らしても取れない」「縮毛矯正をかけても残る」というケースがあります。この違いこそが、この記事の最大のテーマです。
美容師のひとこと
サロンでお客様の髪を濡らした瞬間に、「この跡は取れる跡」「これは取れない跡」がだいたい分かります。濡らしてもくっきり折れ目が残る部分は、髪の中の結合レベルで形が固定されているサインです。この見極めが、縮毛矯正のプランを大きく左右します。
なぜ取れる癖と取れない癖があるのか。それを理解するには、髪の内部で形を保っている「結合」を知る必要があります。髪の主成分はケラチンというタンパク質で、その中ではいくつもの種類の結合が鎖と鎖をつなぎ、髪の形や強さを支えています。
| 結合の名前 | 強さ | 切れるきっかけ | 髪の形への関わり |
|---|---|---|---|
| 水素結合 | 弱い | 水に濡れる | 乾かしたときの形・ブローやコテのスタイリング・寝癖や結び癖 |
| イオン結合(塩結合) | 弱い〜中 | pHの変化(酸性・アルカリ性) | 髪のハリや強度。アルカリ剤で緩む |
| シスチン結合(S-S結合) | 強い | 縮毛矯正やパーマの1剤(還元剤) | くせ毛・ストレートなど「髪の根本的な形」を決める |
| ペプチド結合 | 非常に強い | 通常の施術では切れない(強いダメージで切れる) | ケラチンの鎖そのもの。切れると断毛・切れ毛に |
| ランチオニン結合 | 非常に強い | 縮毛矯正の薬では切れない | 過度な熱やアルカリでシスチン結合から変化してできる「戻らない結合」 |
水素結合は、髪が濡れると切れ、乾くと再びつながる性質を持っています。ドライヤーで乾かしながらブラシで形を整えるとその形がキープされるのは、乾くときに水素結合が「その形のまま」つながるからです。逆にいえば、結んだまま・耳にかけたまま乾いた髪は、その形で水素結合が固まるということでもあります。
イオン結合はプラスとマイナスの電気で引き合う結合です。髪は弱酸性で最も安定し、アルカリ性に傾くと緩みます。縮毛矯正の薬剤にアルカリが含まれるのは、この結合を緩めて薬を浸透させやすくするためです。
縮毛矯正の主役がこのシスチン結合です。硫黄(S)同士が2つつながった強い結合で、くせ毛の形はこの結合の位置によって決まっています。縮毛矯正は、
という3段階で、髪の形を「組み替え」ています。ここで覚えておいていただきたいのは、縮毛矯正は「切ってつなぎ直せる結合」しか動かせないということです。
アミノ酸同士を鎖状につないでいる、髪の背骨のような結合です。通常の施術で切ることはありませんが、ブリーチの繰り返しや過度なダメージで切れていくと、髪はちぎれやすく、ゴムのように伸びる状態になります。
そして今回の主役が、ランチオニン結合です。詳しくは後ほど解説しますが、ひとことで言うと「シスチン結合が熱やアルカリによって変化してしまい、縮毛矯正の薬ではもう切れなくなった結合」です。この結合ができた部分は、良くも悪くも形が固定され、縮毛矯正で組み替えることができなくなります。
では、普段の結び癖や耳掛け癖は、髪の中で何が起きてできているのでしょうか。
朝、髪を結んで出かけ、夜ほどいたときに跡がついている。この跡の正体は、ほとんどの場合水素結合による一時的な形です。日中の湿気や汗、頭皮の熱で髪の水分量が少しずつ変化し、ゴムで曲げられた形のまま水素結合がつなぎ直されることで、折れ目が残ります。
このタイプの癖は、髪を根元から毛先までしっかり濡らし、正しい方向に乾かし直せば元に戻ります。つまり「取れる癖」です。
お風呂上がりに半乾きのまま髪をまとめたり、濡れた髪をクリップで留めたまま寝たりすると、翌朝ガッチリ跡が残っていた経験はありませんか?これは、水素結合が切れた状態(濡れた状態)で曲げられ、そのまま乾いて固まったためです。乾いた髪を結ぶよりも、濡れた髪を結ぶほうが跡は格段に強くつきます。
耳掛け癖は、毎日同じ側の髪を同じ角度で耳にかけ続けることで生まれます。耳の後ろは体温が伝わりやすく、皮脂や汗で湿度も高い場所です。そこに一日中カーブした状態で髪が押し当てられるため、毎日少しずつ水素結合の癖が「上書き」され続けている状態になります。利き手側だけ耳にかける方が多いので、左右で毛先の向きが違うというご相談も非常に多いです。
ここが一番大事なポイントです。水素結合でついた癖は本来取れるはずなのに、なぜ「取れない癖」になってしまうのか。主な理由は次の3つです。
結び跡や耳掛け癖が残ったままストレートアイロンやコテを当てると、その曲がった形のまま髪内部のタンパク質が熱で変化し、形が固定されやすくなります。
シスチン結合が切れている、あるいはつなぎ直しが安定しきっていないタイミングで結んだり耳にかけたりすると、その形でシスチン結合が組み直されてしまうことがあります。
高温のアイロンやアルカリの強い薬剤の影響が重なると、シスチン結合の一部がランチオニン結合に変化することがあります。こうなると縮毛矯正の薬では動かせなくなります。
つまり、結び癖・耳掛け癖そのものが悪いのではなく、「癖がついた状態に何をしたか」で、取れる癖か取れない癖かが分かれるのです。
ここからいよいよ本題の「ランチオニン結合」についてです。少し専門的になりますが、できるだけイメージしやすくお話しします。
シスチン結合は、硫黄(S)が2つつながった「S-S」という形をしています。この結合は、縮毛矯正の1剤で切り、2剤でつなぎ直すことができる、いわば「付け外しができるボタン」のような存在です。
ところが、髪が高い熱や強いアルカリにさらされると、このシスチン結合の一部から硫黄が1つ抜け落ち、硫黄が1つだけで鎖同士をつなぐ別の結合に変わってしまうことがあります。これがランチオニン結合です。
付け外しできたボタンが、縫い付けられてしまった。そんなイメージです。縫い付けられたボタンは、縮毛矯正の1剤(還元剤)ではもう外すことができません。
ランチオニン結合は、普段の生活の中で一気に大量にできるものではありません。ただ、次のような条件が重なると、少しずつ増えていくと考えられています。
ちなみに、海外で使われている水酸化ナトリウムなどを使った強アルカリのストレート剤は、このランチオニン結合への変化を利用して髪をまっすぐにする仕組みとして知られています。それだけ「強いアルカリ×熱」はランチオニン結合と深い関係があるということです。
ランチオニン結合が多くできた部分の髪には、次のような特徴が出やすくなります。
| 見た目・手触り | 考えられる状態 |
|---|---|
| 触ると硬い・ゴワゴワ・ジャリっとする | 熱によるタンパク質の変性とあわせて、結合が固定されている |
| 濡らしても形が変わらない | 水素結合ではなく、より強い結合で形が固まっている |
| 縮毛矯正をかけても伸びない・曲がりが残る | 還元剤で切れない結合が多い |
| パーマやカールがかからない・すぐ取れる | 組み替えられるシスチン結合が減っている |
| ツヤがなく白っぽく見える | 表面のダメージと内部の変性が進んでいる |
大切な注意点
ランチオニン結合は、髪を切って顕微鏡や分析機器で調べなければ、正確に「どれだけできているか」を確認することはできません。サロンで行うのは、施術履歴・手触り・濡らしたときの状態・薬剤への反応などから「ランチオニン結合や熱変性が進んでいる可能性が高い」と推測して判断することです。この記事でも、あくまで仕組みとしての説明であることをご理解ください。
ここからが、縮毛矯正を考えている方にとって一番知っておいていただきたい内容です。ランチオニン結合は、縮毛矯正の仕上がりや持ちに、次のような影響を与えます。
縮毛矯正は、1剤でシスチン結合を切ってから形を整えます。しかしランチオニン結合は1剤では切れません。そのため、ランチオニン結合が多い部分は、薬を塗っても十分に柔らかくならず、アイロンを当ててもまっすぐになりきらないことがあります。「毛先だけうねりが残る」「結んでいた位置だけ曲がりが取れない」というお悩みの背景には、この仕組みが隠れていることがあります。
結び跡や耳掛け癖がついた状態でランチオニン結合が増えると、その跡は曲がった形のまま固定されます。縮毛矯正でその上からまっすぐにしようとしても、固定された部分は動かないため、跡が完全には消えないケースがあります。
「伸びないなら、もっと強い薬で、もっと高温で」と考えるのは危険です。ランチオニン結合が多い部分は、もともと熱やアルカリのダメージを受けている部分でもあります。そこにさらに強い薬と高温を重ねると、髪の内部が崩れ、チリチリとしたビビリ毛になってしまうリスクが高まります。伸ばしきれない部分を無理に追いかけないことも、プロの判断です。
サロンでよくあるケース
「他店で縮毛矯正をかけたけど、結んでいた位置にくっきり段差が残ってしまった。もう一度かけ直してほしい」というご相談。濡らして確認すると、段差部分は明らかに硬く、薬剤への反応も鈍い状態でした。この場合、段差部分には強い薬を使わず、ダメージを抑えた処方と低めの温度で「目立たなくする」ことを優先。完全にゼロにはできなくても、乾かすだけで気にならないレベルまで整えることができました。
ランチオニン結合が多く、熱変性も進んだ毛先は、トリートメントをしても柔らかさが戻りにくいのが特徴です。縮毛矯正でまっすぐにはなっても、「なんだか毛先がツンツンする」「手触りが硬い」と感じる場合は、毛先の結合状態が影響していることがあります。
ランチオニン結合が疑われる部分がある髪は、毎回同じ薬・同じ温度で施術すると、ダメージだけが蓄積していきます。そのため、
といった、部位ごとに考える縮毛矯正の設計が必要になります。これが、縮毛矯正専門店と一般的な美容室で仕上がりや持ちに差が出る大きな理由のひとつです。
ポイント
縮毛矯正が「かからない」「伸びない」原因は、薬の強さ不足だけではありません。髪の中に「もう組み替えられない結合」が増えている可能性も考える必要があります。原因を見誤って強い薬を重ねると、ビビリ毛につながってしまうのです。
ここまでの話をまとめると、結び癖・耳掛け癖が「取れない癖」になる流れは、大きく3つのパターンに分けられます。
朝、前日の結び跡や耳掛け癖が残ったまま、それを消そうと高温のストレートアイロンを当てる。曲がった形のまま熱が入り、跡の形が少しずつ強く固定されていく。毎日繰り返すことで、濡らしても戻らない折れ目に変わっていきます。
縮毛矯正の当日〜翌日は、つなぎ直したシスチン結合がまだ安定しきっていない時期です。このタイミングで強く結んだり、耳にかけたまま寝たりすると、その形で落ち着いてしまうことがあります。せっかくの縮毛矯正に、新しい「折れ」をつけてしまうパターンです。
施術前の髪に強い結び跡や耳掛け癖がついていて、それをしっかりリセットしないまま薬を塗り、アイロンを当てる。跡の部分だけ薬の反応や熱の入り方がずれ、段差や曲がりがそのまま残ったり、逆にその部分だけダメージが強く出たりします。
どのパターンも共通しているのは、「曲がった状態」×「熱や薬」の組み合わせです。結ぶこと、耳にかけること自体は日常の当たり前の動作です。問題は、そこに熱や薬が重なるタイミングなのです。
縮毛矯正の「折れ」と結び癖の違い
縮毛矯正のあとに髪がカクッと折れたようになる「線折れ」というトラブルがあります。これは施術中にアイロンや指の圧で髪が折れた状態で固定されてしまったもので、結び跡とよく似た見た目になります。どちらも「曲がった状態で結合が固定された」という点で仕組みは近く、一度できると簡単には戻せません。だからこそ、施術中も施術後も「曲げない」ことが大切になります。
サロンで最もよくいただく質問のひとつが、「縮毛矯正のあと、いつから結んでいいですか?」です。ここまで読んでいただいた方なら、なぜこの質問が大切なのか、もうお分かりだと思います。
縮毛矯正の2剤でつなぎ直されたシスチン結合は、施術直後からすぐに完全に安定するわけではなく、空気中の酸素などの影響も受けながら、しばらくかけて落ち着いていくと考えられています。そのため当店では、次のような目安をお伝えしています。
| タイミング | 結ぶ | 耳にかける | ポイント |
|---|---|---|---|
| 施術当日 | 避ける | 避ける | 髪を下ろしたまま過ごす。寝るときも髪をまとめない |
| 翌日〜2日目(48時間以内) | どうしても必要なら、ゆるく低い位置で短時間 | なるべく避ける | ゴム跡がつかないシュシュやスプリングゴムで、ふんわりまとめる程度に |
| 3日目以降 | 通常どおりOK | 通常どおりOK | ただし濡れたまま結ぶ・同じ位置で長時間きつく結ぶのは引き続き注意 |
お仕事の関係でどうしても翌日から結ぶ必要がある方は、施術前のカウンセリングで必ずお伝えください。結ぶ位置や毛流れを考えて施術することで、跡が残りにくくなるよう配慮できます。
「当日シャンプーしない」は、結合を安定させるための考え方として広く知られています。最近は薬剤の進化で当日シャンプーも可能とされる処方も増えていますが、濡らしたあとに半乾きで結ぶ・耳にかけるのは、施術直後の髪にとって一番避けたい組み合わせです。シャンプーした日は、根元から毛先までしっかり乾かしてから過ごすことを徹底してください。
耳掛け癖と似たような跡をつけるのが、マスクのゴム・メガネのつる・ヘッドホンやイヤーマフです。これからの季節、耳当てやニット帽を使う方も多いと思います。縮毛矯正直後の2日間は、耳まわりの髪がつるやゴムに挟まれないよう、髪を外側に出しておくなど少し意識するだけでも違います。
縮毛矯正後2日間のチェックリスト
□ 髪は下ろしたまま過ごす
□ 耳にかけない(顔まわりはピンで留めない)
□ 濡れたまま・半乾きで寝ない
□ メガネ・マスク・ヘッドホンで髪を挟まない
□ マフラーやタートルネックで毛先を強く押さえ込まない
□ 寝るときはまとめず、枕の上に髪を広げる
すでについてしまった結び癖・耳掛け癖は、どうすればいいのでしょうか。状態別に、サロンでの考え方をご紹介します。
髪を濡らして乾かし直せば消える跡は、水素結合レベルの癖です。縮毛矯正は必要ありません。根元からしっかり濡らし、正しい方向にドライヤーで乾かすだけで元に戻ります。後ほど「自宅でできるリセット方法」で詳しく解説します。
濡らしても完全には消えないものの、まだ柔らかさが残っている跡は、縮毛矯正で整えられる可能性が高い状態です。ただし、跡の部分だけ他と同じ薬・同じ温度で処理すると、段差が残ったりダメージが偏ったりするため、部分ごとに薬剤とアイロンの当て方を調整します。
ランチオニン結合や熱変性が疑われる状態です。強い薬で無理に伸ばそうとすると、ビビリ毛のリスクが非常に高くなります。この場合、
跡が毛先寄りにある場合は、その部分をカットするのが最も確実で、髪への負担もありません。
完全にまっすぐにすることより、乾かしたときに気にならない状態に整えることを優先します。弱い処方と低めの温度で、少しずつ形を寄せていきます。
新しく伸びてくる部分は健康な状態です。次回以降の縮毛矯正で根元から正しくかけていき、時間をかけて跡の部分と入れ替えていきます。
施術直後に結んでしまってできた折れは、ついてからの時間が短ければ、比較的直しやすいことが多いです。気づいたら早めにご相談ください。当店で施術されたお客様の場合は、お直しの期間内であれば状態を確認して対応いたします。ただし、自己判断でアイロンを高温で当てて直そうとするのは、跡を固定してしまう原因になるので避けてください。
やってはいけない!NG対処法
・跡を消そうとして200℃以上のアイロンを何度も当てる
・濡れた髪や半乾きの髪にアイロンを当てる
・市販の縮毛矯正剤で部分的にセルフ矯正する
・「伸びないから」と短期間で何度も縮毛矯正をかけ直す
これらはランチオニン結合や熱変性を増やし、「取れない跡」をさらに強くしてしまう可能性があります。
結び癖・耳掛け癖がある方が縮毛矯正をかける前に、ぜひ準備・確認しておいていただきたいことがあります。これだけで仕上がりが大きく変わります。
当日に結んだ状態で来店されると、その跡が「今日ついた軽い跡」なのか「取れない跡」なのか判断がしにくくなります。できれば前日の夜からは結ばず、当日は髪を下ろした状態でお越しください。
こうした情報は、どこにランチオニン結合や熱変性が起きていそうかを推測するための重要な手がかりになります。「こんなこと言っても仕方ないかな」と思うようなことも、ぜひ遠慮なく教えてください。
毎日結ぶ方と、ほとんど下ろしている方では、最適な縮毛矯正の仕上がりも違います。結ぶことが多い方は、毛先に少し丸みを残した自然なストレートや、毛先にカールをつけるストカールのような選択肢もあります。結んだときにまとまりやすく、ほどいたときにも跡が目立ちにくいデザインを一緒に考えましょう。
カウンセリングでのお話に加えて、実際の施術中にも、ランチオニン結合や熱変性が進んでいそうな部分を見極めるためのサインを確認しています。
| 確認するサイン | 見ているポイント | 施術での対応 |
|---|---|---|
| 濡らしたときの形 | 濡らしても折れ目やカーブが残るか、すぐに消えるか | 残る部分は「強い跡」として薬剤とアイロン温度を分けて考える |
| 1剤をつけたときの反応 | 他の部分と同じ時間で柔らかくなるか、反応が鈍いか | 反応が鈍い部分に薬を足し続けず、ダメージを優先して判断する |
| アイロン後の手触り | しなやかに伸びるか、硬さやザラつきが残るか | 硬さが残る部分は温度を下げ、無理に何度も通さない |
この3つのサインは、どれか一つだけで判断するのではなく、組み合わせて総合的に見ていきます。特に結んでいた位置や耳にかけていた側は、他の部分と同じように見えても反応が違うことが多いため、毛束を少しずつ取りながら丁寧に確認しています。「なんとなく同じように塗って、同じようにアイロンを当てる」のではなく、一束ごとに髪の答えを聞きながら進める。これが、結び癖や耳掛け癖がある髪を縮毛矯正するうえで、私たちが最も大切にしていることです。
ここからは、ランチオニン結合や熱変性を増やさず、「取れない癖」を作らないために、毎日の生活でできることをお伝えします。
濡れた髪・半乾きの髪を結ぶのが一番跡がつきます。根元から毛先まで完全に乾かしてから結びましょう。
細くて強いゴムより、シュシュや電話コード型のスプリングゴム、布製のヘアゴムのほうが圧が分散され、跡がつきにくくなります。
ギュッと締め付けるほど折れ目は強くなります。崩れない程度のゆるさを心がけましょう。
毎日同じ位置で結ぶと、同じ場所に癖が蓄積されます。高め・低め・ハーフアップなど、位置をずらすだけで跡が残りにくくなります。
結んでいる時間が長いほど癖は強くなります。帰宅したら早めにほどいて、頭皮と髪を休ませてあげてください。
ランチオニン結合と熱変性を防ぐうえで、最も大切なのがアイロンの使い方です。
| NGな使い方 | おすすめの使い方 |
|---|---|
| 200℃以上で毎日使う | 140〜160℃程度を目安に、必要な部分だけ |
| 同じ場所に何度も往復させる | 1回でスッと通す。挟む時間を短く |
| 濡れた・湿った髪に当てる | 完全に乾かしてから使う |
| 結び跡の上からいきなり当てる | 一度濡らしてドライヤーで癖をリセットしてから |
| 熱から守るアイテムを使わない | 熱に対応したアウトバストリートメントを使う |
縮毛矯正をかけている方は、そもそも毎日アイロンを使わなくても良い状態にすることがゴールです。「縮毛矯正をしているのに毎日アイロンが手放せない」という方は、施術の設計自体を見直すタイミングかもしれません。
水素結合レベルの軽い跡であれば、自宅で簡単にリセットできます。アイロンを使う前に、ぜひこの方法を試してみてください。
霧吹きで表面を湿らせるだけでは不十分です。跡の部分の根元から毛先まで、手で揉み込むようにしっかり水分を行き渡らせます。全体の跡が強いときはシャンプーしてしまうのが確実です。
ゴシゴシこすらず、タオルで挟んでポンポンと押さえるように水気を取ります。
跡は毛先だけでなく根元の向きにも影響されています。まずは根元を指でこすりながら、跡と反対方向にも風を当てて乾かします。
手ぐしで髪を軽く引っ張り、上から下へ風を当てながら乾かします。キューティクルの流れに沿って風を当てるとツヤも出ます。
8割ほど乾いたら、最後に冷風を当てて形を落ち着かせます。水素結合は冷えるときにしっかりつながるので、ここが跡を戻さないポイントです。
この方法で消えない跡は、水素結合以上の強い結合で形がついている可能性があります。無理にアイロンで消そうとせず、サロンでご相談ください。
11月から冬にかけては、実は結び癖・押し癖が一年で最もつきやすい季節です。
さらに、乾燥する季節は「広がるから」とアイロンの使用頻度が増えがちです。跡がつきやすい×アイロンが増えるという組み合わせは、ここまでお話ししてきた「取れない癖」ができやすい条件そのものです。
12月は忘年会やクリスマス、年末年始の帰省やお出かけなど、髪をきれいにしておきたいイベントが続きます。そして美容室も最も予約が取りにくくなる時期です。
縮毛矯正は、施術直後よりも1〜2週間ほど経って髪がなじんだ頃に、いちばん自然で扱いやすい状態になります。年末のイベントに合わせるなら、11月中旬〜12月上旬の施術がおすすめです。施術後2日間の「結ばない・耳にかけない」期間も、大事な予定と重ならないように逆算しておくと安心です。
冬によくあるご相談例
「毎年冬になるとマフラーで毛先が跳ねるので、朝アイロンで直すのが習慣になっている」という方は少なくありません。お話を伺うと、跡がついたままの髪に毎朝高温のアイロンを当てていることがほとんどです。こうした場合は、まず跡の上から熱を当てるのをやめていただき、縮毛矯正の設計を見直します。毛先の硬い部分を整理し、根元からなじむストレートに整えることで、マフラーを外したあとも手ぐしで戻りやすい状態を目指します。
A. 水素結合レベルの軽い跡や、まだ柔らかさが残っている跡であれば、縮毛矯正でほとんど目立たなくできます。ただし、熱やアルカリの影響でランチオニン結合が増えている可能性がある硬い跡は、縮毛矯正の薬では動かせないため、完全には取れないこともあります。その場合はカットと組み合わせたり、「目立たなくする」ことを目標にしたりしてご提案します。
A. ランチオニン結合はシスチン結合が別の形に変化したもので、残念ながらトリートメントで元のシスチン結合に戻すことはできません。トリートメントは手触りやツヤ、まとまりを補うことはできますが、結合そのものを元通りにするものではありません。だからこそ「できる前に防ぐ」ことが大切です。
A. 施術前のカウンセリングで必ずお伝えください。結ぶ位置を考慮した施術を行い、当日〜翌日はシュシュやスプリングゴムで低い位置にゆるくまとめる、ほどいた後は一度髪を濡らして乾かし直すなど、跡を残しにくい方法をアドバイスいたします。
A. もちろん大丈夫です。ただし施術後2日間は、メガネのつるやマスクのゴムに髪が挟まらないよう、耳まわりの髪を外側に出すように意識してください。それだけで耳まわりの跡はかなり防げます。
A. 毛先は過去の縮毛矯正やアイロン、カラーの影響を最も長く受けている部分です。ランチオニン結合や熱変性が進んでいる可能性があり、薬が効きにくくなっていることがあります。このような毛先に強い薬を重ねるとビビリ毛のリスクが高まるため、当店では毛先には薬をつけない、もしくは極めて弱い処方にするなど、部分ごとに施術を変えています。
A. 来店していただくこと自体は問題ありませんが、できれば前日の夜から髪を結ばず、下ろした状態でお越しいただくと、癖の状態を正確に判断しやすくなります。どうしても結ぶ必要がある場合は、ゆるめにまとめてお越しください。
A. はい、縮毛矯正をしていなくても、高温のアイロンやコテを毎日使い続けることで、熱変性とあわせてランチオニン結合が増えていく可能性があります。特に濡れた髪や湿った髪への高温アイロンは負担が大きいので、温度と使い方には注意してください。
結び癖や耳掛け癖は、ほとんどの場合、髪を濡らして乾かし直せば消える水素結合の癖です。ところが、癖がついた状態に高温のアイロンや縮毛矯正の薬が重なると、癖は髪の中のより強い結合で固定され、「取れない癖」へと変わってしまいます。
そのカギを握っているのが、縮毛矯正の薬では切ることができない「ランチオニン結合」です。ランチオニン結合ができた部分は、縮毛矯正をかけても伸びにくく、無理に伸ばそうとするとビビリ毛のリスクが高まります。そして一度できたランチオニン結合は、トリートメントで元に戻すことはできません。
だからこそ大切なのは、
という、毎日のちょっとした意識と、髪の状態を正しく見極めた施術です。
「ランチオニン結合」という言葉は覚えなくても大丈夫です。ただ、「曲がったまま熱や薬を加えると、戻らない癖になることがある」ということだけは、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。それを知っているだけで、毎朝のアイロンの当て方も、縮毛矯正のあとの過ごし方も、きっと変わるはずです。
HAIR SALON MELIAでは、縮毛矯正・髪質改善専門サロンとして、癖の種類や施術履歴、生活習慣まで丁寧に伺ったうえで、部位ごとに薬剤と温度を変える施術を行っています。「結び跡が取れない」「耳にかけている側だけ跳ねる」「毛先だけ伸びない」など、どんな小さなお悩みでもお気軽にご相談ください。これから迎える冬、そして年末のイベントを、扱いやすい髪で過ごしましょう。
この記事のポイントをおさらい
・結び癖・耳掛け癖の多くは、濡らせば戻る「水素結合」の癖
・癖の上から高温アイロンや薬が重なると「取れない癖」に変わる
・ランチオニン結合は、シスチン結合が熱やアルカリで変化した「戻らない結合」
・ランチオニン結合は縮毛矯正の薬で切れないため、伸びない・跡が残る原因になる
・無理に強い薬で伸ばそうとするとビビリ毛のリスクが上がる
・縮毛矯正後は当日は結ばない・耳にかけない、48時間はやさしく扱う
・11月〜冬はマフラーや襟による押し癖が増える季節。年末前は11月中旬〜12月上旬の施術がおすすめ
HAIR SALON MELIA(ヘアーサロンメリア)は、さいたま市南区にある美容室です。
南浦和駅から徒歩30秒、浦和駅からも徒歩15分とアクセス良好。
経験豊富な技術と知識をもとに、髪質改善・縮毛矯正に特化したサロンとして多くのお客様に支持されています。丁寧なカウンセリングが好評で、遠方からお越しいただく方も多数。
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| 電話 | 048−606−3186 |
髪質改善・縮毛矯正を得意とし、年間数百名のくせ毛に悩むお客様を担当。
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